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事例紹介

賃貸物件を相続する場合で息子さんからのご相談③

2016年03月01日

以前より、実際に当社で取り組んだ相続対策及び家族信託の設定を以下の3部構成のうち2部までご紹介しておりました。

1. ご相談をいただいてから対策の実行に至るまでの流れ
2. 実行した相続対策と家族信託の内容
3. 家族信託で最も重要となる信託口座(受託者口座)開設の流れ

今回は、3番目の「3.家族信託で最も重要となる信託口座(受託者口座)開設の流れ」について、ご紹介させていただきます。

3.家族信託で最も重要となる信託口座(受託者口座)開設の流れ

1.信託口座の開設について

本件では2棟の不動産を信託するものとして案件が進められました。この2棟の不動産はいずれも第三者に賃貸して収入を得るための収益物件であるため、信託された場合には信託財産に賃料収入が入ってくることや、委託者がこれら不動産の賃借人から受領した敷金を受託者が預からなければならないことなど、受託者が金銭を信託財産として扱わなければならないことが予定されていました。

また一方で、受託者には自らの固有財産と信託された信託財産を分けて管理するべき分別管理義務があります。仮に、受託者が自らの固有財産と預けている預金口座において、信託財産の金銭を管理しようとすると両者が混ざり合ってしまい、分別管理を実現することが困難になります。このため、信託財産である金銭を管理するための信託口座を新たに開設する必要がありました。

さらに信託口座は信託財産を管理するための口座ですので、仮に受託者が信託財産とは関係なく個人の財産について差押えがなされるような場合であっても、受託者個人に対する債権者は信託口座の預金を差し押さえることができません。このため、信託口座の名義は通常の個人の口座とは異なるものであることを外部からも認識できるようにするため、「〇山〇男」のような個人名ではなく、「委託者 〇川〇郎 受託者 〇山〇男」のような表示や「〇山〇男 信託口」のような表示とする例があるといわれています 

これらのことを踏まえ、本件においても信託口座の開設を求めて某地方銀行と協議を進めることとしました。本件では信託不動産がローンで購入された物件ではなく、信託不動産に対して金融機関の抵当権が設定されていなかったため、信託口座の開設はどの金融機関でもよかったのですが、今後の信託案件の増加を見越して大手の地方銀行で開設することとしました。なお、本件は信託設定後、委託者が受益権を法人(株式会社)に移すことが予定されていましたが、仮に信託不動産に抵当権が設定されているような場合であれば抵当権の設定を受けている金融機関と協議を行う必要があり、その金融機関が担保価値を確保するために、その金融機関において信託口座を開設することを求められることが多いものと考えられます。

銀行との折衝においては、今回の銀行ではこれまでに信託口座を開設したことがなかったとのことであったため、当社がこの銀行の担当者に対して信託の仕組みや信託口座の位置付けなどのご説明を行い、理解を求めました。制度趣旨は若干異なりますが、例えとして成年後見人が成年被後見人の財産を管理するための口座に例えて説明もしましたところ、これによって概ねご理解を頂いたようです。当社からの説明後、すぐにこの銀行から回答があり、信託口座の開設が認められました。但し、この銀行での管理の都合上、名義は「委託者 〇川〇郎 受託者 〇山〇男」や「〇山〇男 信託口」のようなものではなく、受益者を表示してほしいといわれたため、結局「受託者 〇山〇男 受益者 〇〇株式会社 代表取締役 〇山〇男」という口座名義となりました。

口座開設当日は、事前の準備が功を奏し、通常の口座開設と同等の時間で銀行での口座開設手続を行うことができました。銀行印は、当社からの要望どおりに受託者の印鑑とすることができました。この口座は名義自体はやや特殊であるものの、口座の管理手数料が特別にかかるわけではなく、キャッシュカードを用いてATMでの取引ができるなど、一般の口座と同様の取り扱いがなされます。これにより信託口座においての信託財産の管理が可能となり、本件スキームの実行の前提ができました 

順調に信託口座が開設されましたが、実際に信託口座が信託口座として機能しているのかを明らかになるのは受託者個人の債務について信託口座の差押えがなされようとした場面や信託終了にあたって口座解約の手続がスムーズに行えるのかが見える場面ですので、これらの場面において銀行が信託法の概念に従った取扱いを行なってくれることを期待したいと考えています。

 

 

 


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