実績紹介

ご両親の介護資金の管理を心配されたご子息様からのご相談

2018/04/25

本件の特徴

1)金銭のみを対象とした家族信託 

2)将来に必要となる介護資金を家族信託で管理する

 

ご相談内容

A様はご両親が高齢となることで、今後入院や施設の入居などでまとまった資金が必要となったときに、金融機関から本人確認ができないことを理由に引き出しができなくなってしまうリスクを懸念されていました。そうした中、雑誌で家族信託の特集を見つけたA様は、インターネットで調べるうちに弊社を発見いただき、ご相談に至りました。

 

本件を進めるにあたって問題となったのは次の2点です。

① 信託の対象とする財産

A様のお父様は夫婦及び長男が居住する自宅を所有するほか、一定額の預金がありました。また、A様のお母様は不動産の所有は無いものの、老後資金として蓄えた預金がありました。

② 相続の方針

ご両親が認知症や病気で入院した際の預金の管理に関する懸念がメインであり、相続が発生した場合の扱いはまだ決まっておりませんでした。

 

弊社のサービス

以上の状況下で以下のような流れで手続きを進めさせていただきました。

① 初回ご相談

初回無料の個別面談をお申込みいただき、財産内容をまとめたヒアリングシートと固定資産税納税通知書を基に、想定される家族信託の概要をご説明するとともに、制度に関するA様のご質問にお答えしました。A様は、面談前にインターネット等で制度について詳しく調べていらっしゃったため、より具体的な内容に踏み込んだ面談となりました。

結論として、まずはA様のお母様が所有する預金を対象に家族信託の手続きを進めることとしました。

② A様と面談

弊社の専門家2名がご自宅にお伺いしてご両親にお会いするとともに、お母様に家族信託を進める意思があることを確認いたしました。

これをもって、弊社の家族信託サービス『家族でつなぐ』にお申込み頂きました。なお、面談にはA様のお兄様にも立会いただき、抱えていたご質問に対応させていただきました。

③ ドラフト信託契約を用いたA様との打ち合わせ

A様と2回実施した面談に基づきドラフトの信託契約書を作成し、A様と詳細な内容を詰めました。

打ち合わせを重ねる中で決めたのが相続発生時の扱いでした。認知症対策と相続対策の両方を一度に進めることができる点が家族信託の特徴の一つとなりますが、本件ではまず認知症対策を優先して、将来的にお母様が亡くなられた際に残る預金について、その時点でお父様がご健在の場合にはお父様の生活費等として使うこととし、さらにお父様も亡くなられた場合にはお子様2人で話し合いを進めることで対応を決めることとしました。具体的には、お母様とお父様が亡くなられたら信託を終了して信託財産を相続財産に帰属するものとし、遺産分割協議に委ねる扱いとしました。

④ 信託契約の締結及び信託口口座の開設

信託契約の締結と信託口口座の開設を同日に済ませたいというお客様のご要望と、お母様が怪我で足を不自由されていた点を考慮して、今回は銀行で契約締結及び口座開設の手続きを進めました。また、弊社ではお客様のご希望に応じて信託契約の締結を公正証書に拠らなくとも作成できる流れとしております。これは、①信託財産が不動産であれば信託登記によって第三者に対抗ができること、②信託法に通じた専門の弁護士が関与したうえでさらに公正証書で作成した場合には多額の費用負担がお客様に発生する、点を考慮したものです。しかしながら、本件では金銭のみを対象とした信託であり、不動産のように登記がなされるものではないため、公証役場で『確定日付』を取ることで信託契約書の存在や内容について後日トラブルにならないよう手続きを進めさせていただきました。

 

家族信託の内容

今回のご相談で設定した家族信託の内容は以下の通りです。

本件では、家族信託を家族が老後の財産管理や相続について考えるきっかけとしていただき、家族信託が持つ「一部の財産から対応可能」「今後の状況に応じて契約内容の変更が可能」という特性を活かしていただいている点がポイントと言えます。

信託財産:現金1,500万円

委託者兼受益者:お母様

二次受益者:お父様

受託者:A様

信託の内容:

① 受託者が預金の管理をし、必要に応じて受益者であるお母様の入院や介護等に関する費用を払い出す

② 受益者が亡くなった場合は二次受益者であるお父様の入院や介護等に関する費用を払

い出す

③ お母様もお父様も亡くなった場合は信託を終了し、信託財産は相続財産として遺産分割を行う。

ページ最上部へ