遺言をお考えの方
遺言書について
自分が亡くなった後の自分の財産の処分方法を決めておけるもの、それが遺言書です。ある一定の様式に則って準備をしておけば、死後も自分の意思が法的に保証されることになります。
遺言書には骨肉の相続争いが起こりそうな資産家が利用するイメージも強くありますが、相続人の方々への最後の言葉を遺すように利用されるケースも増えてきています。
遺言書が特に有効なケース
以下のような場合には、遺言書があると特に安心!!
- 相続人の中に認知症の症状が出はじめている人がいる
- 相続人の中に連絡が取れない又は疎遠な人がいる
- 相続人が大人数にのぼる(子どもがいないケース等も注意)
相続が発生すると、その相続財産はすべて法定相続持分に応じて各相続人に帰属するとされています。もちろん、有効な遺言書が存在している場合にはその内容に応じますし、各相続人間で遺産分割協議が成立した場合にはその内容に応じることになります。
つまり、相続人全員で遺産分割協議ができない場合には、遺言書がない限りは相続財産が相続人全員の共有となってしまうということです。そうなってしまうと、特に不動産については売却処分をする際に共有者たる相続人全員の同意がなければ手続きが進みません。せっかくの財産が有効に活用できないことにもなり兼ねず、相続人の負担は計り知れません。具体的には下記のようなケースが考えられますので、遺言書の活用を積極的に検討してはいかがでしょうか。
遺言書の種類
一般になじみ深いものとして「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」があります。
自筆証書遺言
「自筆証書遺言」は遺言書の内容(財産目録を除く)を全て自分の直筆で記すことで作成ができます。遺言書の作成においては手数料がかからず自分一人で手軽に作成をすることができる反面、遺言書の法定要件を満たしているかどうかや表現の仕方として適切かどうかの客観的な確認がありませんので、遺言内容の解釈に争いが生じてしまったり、遺言の効力そのものが争われたりする危険性があります。また、自分の手元で保管する場合には、紛失してしまったり、死後に見つけてもらえなかったり、勝手に改ざんされる危険性も考慮する必要がありますが、令和2年7月から自筆証書遺言の法務局保管制度が始まりましたので、その点は利便性が高まったと言えます。
公正証書遺言
「公正証書遺言」は本人が口述した遺言内容を公証人が書面に落とし込んで作成をするものです。法律の専門家である公証人が関与することで記載内容の法的効力が保証されますし、原本は公証役場にて保管をされていますので、遺言書を紛失する恐れや故意に破棄されたり、改ざんされる恐れがありません。作成に際し、ある程度の手数料が発生するため、しっかりと遺言の内容を熟慮確定してから作成するのが良いと思われます。
<執筆者情報 > 株式会社つなぐ相続アドバイザーズ 顧問 白木 愛 |