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事例紹介

パーキンソン病による意思能力低下に伴う父親の財産管理と障がいがある兄の生活保障をカバー

2020年06月19日

今回ご紹介する事例は、㈱つなぐ相続アドバイザーズ代表である私深谷が父親と組んだ家族信託になります。

自ら当事者として取り組んでみて気づいたことなどを中心にご紹介させていただきます。 

 

 

本件の特徴

1)父親の意思能力低下による財産(マンション・金銭)管理及び施設費用対策

2)後見制度の煩雑さを家族信託でカバー

3)長期にわたる信託契約のため、バックアップ受託者を設定

 

 

家族信託が必要となった背景

 

これまで私は多くの家族信託の設定に携わってまいりましたが、我が家のこととなると手付かずでした。理由は簡単で、まだ必要な状態ではなかったためです。

しかし、父は数年前にパーキンソン病を発症しました。病状はゆっくりと進行し、それに伴い判断力や記憶力の低下がみられてきました。判断力や記憶力はなだらかに低下するのではなく、体調や季節によって大きな波がありました。このため、いずれは高齢者施設に移ることも踏まえて、意思能力を喪失した場合の財産管理を考える必要性が出てきました。

もう一つは相続の問題でした。私には兄がいますが、知的な障害があり既に後見人がついている状態であるため、遺産分割協議により相続を行った場合には手続きが煩雑となる恐れがありました。また、財産には自宅不動産もあるため、兄を含めて共有することになった場合には、将来的に売却する際には非常に大変な手続きになる恐れがありました。このため、遺言もしくは家族信託による相続の指定は必須の状況でした。

 

ここで考えたのが、父が兄に遺言書で財産(金銭)を残した場合における兄の財産管理でした。遺言で相続した財産は兄の個人財産となるため、その管理は後見制度の基で行われることとなります。後見制度を否定するものではありませんが、資金使途等の家庭裁判所に対する報告はこれまでも大きな負担であったと母親から聞いていた私としては、後見制度の基で後見人として管理する財産とは別に、家族内で兄のためにある程度自由に使い道を決められる財産を別に用意しておきたいという希望がありました。これはまさに家族信託が効果を発揮する場面の一つでもあり、こうしたことから我が家でも家族信託を設定することとなりました。

家族信託設定に至った背景を改めてまとめると次の2点です。

 

 ・父親の意思能力低下に伴う財産管理の問題を解決したい

 ・父の死後に、知的障害がある兄のために父が遺した財産の管理を私が行いたい

 

設定した家族信託の概要

 

委託者:父親

受託者:私 (バックアップ受託者 私の妻)

一次受益者:父親

二次受益者:母親、兄

帰属権利者:私

信託財産:不動産(マンションの区分所有持分)、金銭

 

内容としては、

・ 父親の生前は不動産と信託された金銭の管理は私が行います。

・ 父親の生前に不動産を売却する必要が生じた場合には、受託者である私の判断で売却可能としました。

・ 父の死後は残された財産を二次受益者の持分として指定した割合に分け、私が母親と兄のために管理を行います。

・ 母親と兄の死後は残された信託財産をそれぞれ私が承継し、母親と兄の死により本件信託は終了する。

 

今回設定した家族信託は特徴の一つとして二次受益者の兄が亡くなるまで続くため、非常に長期に渡ることが予想されました。このため、以下2点の対応をしました。

 ・バックアップ受託者の設定:信託終了前に私が先に亡くなる可能性が多分にあったため、私の妻をバックアップ受託者として設定しました。

 

・今回信託口口座を開設した三井住友信託銀行では、家族信託に対応した預金口座を提供しており、また一部受託者として利用可能な運用商品も提供していました。長期に渡る財産管理においては、わずかな運用益も大きな違いとなってきます。このため、受託者判断により一定のリスクを取った運用が可能となる内容にしました。

 

 

最後に

 

今回家族信託の設定準備に取り掛かったのは2019年の秋でした。受託者である私が札幌に、委託者である父親が東京にいることもあり、準備は短期間では進められませんでした。また、同時期に父親が体調を崩したこともあり、準備が整ったのは2020年の年明けでした。3月に私が東京への出張を予定していたため、公証役場や信託口口座を開設する銀行との日程調整を行ったところ、同時期に深刻化したのが新型コロナウィルス感染症の問題でした。幸い、北海道独自で出されていた緊急事態宣言が緩和されたこと、またこの時期を逃すと次が見えなかったことを考えて東京に行き、何とか公証役場での手続きを済ますことができました。

 

ただ、家族信託は信託契約書に判が付けばそれで完了ではありません。不動産については信託登記を行い、金銭については信託口口座への移動が必要です。ここで問題になったのが、信託口口座への金銭の移動でした。

信託口口座は、受託者である私が札幌在住のため三井住友信託銀行の札幌支店にて対応をいただきました。同行では公正証書で作成された信託契約の原本を確認の後に口座開設を承認するため、口座開設手続きは私が札幌に戻ってから行わざるを得ませんでした。口座開設後には、父親の口座から信託契約書で指定した金額を振り込む必要がありますが、多額の金銭を父親が家から徒歩圏内にない銀行まで出かけて振込手続きをするには心配があり、私が同行する必要がありました。

ただ、そうした中でも新型コロナウィルスの感染は広まり続け、ついには全国的に緊急事態宣言が出されて私が東京まで行くことが難しくなってしまいました。父親のパーキンソン病はこれまでも夏の暑い時期に症状が重くなっていたため、できるだけ早急に資金移動を行いたいと様子を見ていましたが、6月に緊急事態宣言が解除されたことで、東京に行き資金移動の手続きを終えることができました。

 

これまでも、ご相談いただいたお客様に対しては可能な限り迅速な対応を心がけてきましたが、今回自分自身の実例を踏まえて改めてその必要性を感じさせられました。 

 

 

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「Q.障がいのある子に財産を遺すのに家族信託は有効ですか?」

 

 

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