実績紹介

相続対策・法人活用 賃貸物件を相続する場合で息子さんからのご相談②

2016/02/12

前回に引き続き、実際に当社で取り組んだ相続対策及び家族信託の設定を以下の3部構成でご紹介しております。

1. ご相談をいただいてから対策の実行に至るまでの流れ
2. 実行した相続対策と家族信託の内容
3. 家族信託で最も重要となる信託口口座(受託者口座)開設の流れ

今回は、2番目の「2. 実行した相続対策と家族信託の内容」について、ご紹介させていただきます。

2. 実行した相続対策と家族信託の内容

本件の特徴

1.資産保有会社の成立

2.家族信託の設定

3.信託受益権の譲渡

4.信託受益権の譲渡にて発生した金銭債権の一部を株式にし、今後評価額を見ながらご子息へ贈与

5.公正証書遺言の作成

 

ご提案のポイント

今回のご提案でお客様が選択された(A)法人と家族信託を用いたプラン、について詳しくご説明します。

本件でのお客様のご希望は、以下の2点になります。

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[ご希望内容]

① 資産保有会社を活用した賃貸アパート経営に移行する
② お客様が亡くなったあとに財産をどのように引き継がせるか明確にしておく

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ただし、①の資産保有会社の活用に当たっては相続税を考える上で以下のような問題がありました。また、お客様の奥様は認知症の症状が出始めているため、この点にも留意した対応が必要でした。

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[問題点]

(1)個人で所有する物件を資産保有会社に移転する際に発生する登録免許税と不動産取得税(本件では約5百万円)の問題。

(2)物件は資産保有会社に「売却」することで移転されますが、この際に必要となる売買代金の決済の問題。

(3)物件を資産保有会社に売却することで、お客様の相続財産は不動産から資産保有会社に対する金銭債権に変わります。本件では、金銭債権の一部を株式に転換(デット・エクイティ・スワップ)することを考えていますが、株式の評価については売却から3年間は不利な状態となる*ため、この間に相続が発生すると物件の移転が相続税の負担増加につながる恐れがあります。
*財産評価基本通達189-4,185

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これらの問題を回避するために、ご提案のなかにはそれぞれ以下のような対応を盛り込みました。

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[対応内容]

(1)物件をそのまま売却するのではなく、「家族信託で物件を信託受益権化して売却」しました。信託受益権の売却であれば、不動産取得税がかからないほか、登録免許税も1件につき1,000円ですみます。

(2)会社へ移転する資産を建物(厳密には建物を信託財産とする信託受益権)のみにして、土地は引き続き個人で所有することで売却代金を最小限に押さえました。また、売却後に未決済の金銭債権の一部を現物出資(デットエクイティスワップ)により株式にしました。

(3)資産保有会社へ移転する資産を建物のみにすることで、3年内に相続が発生した場合の不利益を最小限にしました。

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実行した手続き

上記の検討に基づいて以下の5つの手続きを実施しました。

つなぐ相続アドバイザーズでは各専門家が資産承継プランニングの段階から連携をとりながらお客様のサポートにあたるため、これら複雑な手続きも安心してお任せいただけます。

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[実行内容]

(1)資産保有会社の設立
お客様とご長男を株主として、信託受益権(賃貸アパート)を所有する資産保有会社を設立します。

(2)家族信託の設定
以下の内容で家族信託を設定します。
委託者:お客様
受託者:ご長男
受益者:お客様
信託財産:賃貸アパートの建物(2物件)

(3)信託受益権の譲渡
お客様が保有する信託受益権を資産保有会社に譲渡します。
売買代金は資産保有会社が毎月一定額をお客様に返済する取り決めにしました。これにより、お客様は物件売却後も定期的な収入を得ることができます。また、後述のとおりお客様他界後は奥様が金銭債権を相続することで、引き続き定期的に一定の収入を得ることを可能にします。

(4) (3)で発生した金銭債権の一部を現物出資により株式にします。株式は今後評価額を見ながらご長男に贈与を行います。

(5)公正証書遺言の作成
賃貸アパートの敷地や、その他信託に含めなかった財産については公正証書遺言を作成します。遺言書で相続を指定した財産のうち、主なものは以下の通りです。

賃貸アパートの敷地:ご長男
売却に伴う金銭債権:奥様
資産保有会社の株式:ご長男

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以上が今回の家族信託制度を利用した相続対策のご提案内容と実行内容になります。


札幌で家族信託のご提案と実行なら、つなぐ相続アドバイザーズ

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