実績紹介
認知症対策 母親の認知症により不動産の売却ができなくなることを心配されたご長女からのご相談
2018/02/05
本件の特徴
1)初期の脳血管性認知症の母親が所有する不動産の事前対策
2)急を要する状況に応じ、1ヶ月にて信託設定手続きの対応を実現
3)母親が所有するご自宅の売却権限をご長女へ委ね母親の施設費用等の備えとする
ご相談内容
今回ご紹介する事例は、お母様(K様)の認知症を心配されたご長女から相談を受けられた不動産会社の方からのご相談でした。
K様は札幌市内のグループホームにお住まいで、元のご自宅の土地建物の所有者になっておられました。
少し前から一人暮らしをすることが難しくなり、グループホームに移られたとのことでした。
元のご自宅には一人っ子のお子様であるご長女がお住まいになられていますが、近くこのお宅を売却して転居を考えておられるということでした。
このお宅を売りに出している間にK様の意思能力が認められなくなると売買が進められなくなるため、予め家族信託を設定してご長女に売却権限を委ね対処することが検討されました。
本件ではK様が脳血管性の認知症の症状が確認されている点が問題になりましたが、まだ初期段階であるということから、早急に手続を進める必要があると考えられました。
弊社のサービス
本件では以下のような流れで手続を進めました。
①ご相談の端緒
2017年11月5日に行われたセミナー「相続・家族信託セミナー ~ 不動産オーナー安心!家族信託が拓く賃貸経営~」にご参加頂いた不動産会社の方からメールで本件の概要についてご連絡を頂き、ご長女の方をご紹介頂きました。
<「相続・家族信託セミナー ~ 不動産オーナー安心!家族信託が拓く賃貸経営~」のご報告>
https://tsunagu-s.jp/seminar/941/
②初回面談
初回は不動産会社の方にご長女をお連れ頂き、面談を実施しました。
K様はご自宅の他にも郊外にいくつか不動産をお持ちでしたが、売買が難しいと判断されたため、今回の家族信託の対象には含めないこととしました。
また、不動産会社の方から信託設定後、受託者による売買をどのように進めたらよいかというご質問を頂いたため、後日、司法書士からの回答を差し上げました。
③K様との面談
K様は判断能力に不安をお持ちとのことでしたので、信託契約ができるかの事前判断のため、弊社の専門家2名がK様をご訪問させて頂き、ご長女立ち合いのもとで財産の状況や今後財産をどのようにしていきたいのかをヒアリングさせて頂きました。
K様はこれらのヒアリングに対してしっかりとした口調でお答えになり、明確な意思をしめされたため、信託契約の締結に問題はないと判断されました。
また、合わせて信託契約の内容についてもお打合せさせて頂きました。
④信託契約の締結
お打合せの後、委託者(K様)、受託者(ご長女)、二次受託者(ご長女のご主人)の正確な住所を確認するための住民票、登記手数料を確定するための平成29年分の納税通知書、登記に必要な印鑑登録証明書と権利証をご用頂いた上、信託契約の締結日を迎えました。
今回は、ご自宅の売却権限をご長女に委ねる目的であるというシンプルなものでしたので、信託契約の説明自体は30分もかからないようなものでした。
⑤信託口口座の開設
本件ではK様の状態が悪くなる前に手続を進める必要があったため、信託契約の締結を急ぎました。
一方で定期的な収入はないものの、ご自宅の維持管理のための金銭を入れたり、売買で得た金銭を入れたりするために信託口口座を開設しておく必要がありました。
このため後日、受託者となったご長女に銀行までお越し頂き、信託口口座を開設して頂きました。
これにより設定業務については完了しました。
家族信託の内容
今回のご相談で設定した家族信託の内容は以下の通りです。
信 託 財 産:元のご自宅の土地建物
委託者兼受益者:お母様(K様)
受 託 者:ご長女(二次受託者:ご長女のご主人)
帰 属 権 利 者:ご長女
信 託 の 内 容:①受託者が元のご自宅の管理を行い、必要に応じて売却できることとする
②元のご自宅を売却した場合には受託者が売却代金を信託財産を管理し、施設費用など
受益者のために必要な支払いをする
③受益者が亡くなった場合は信託を終了し、権利帰属者に財産を分配する