実績紹介
オンラインでの打ち合わせを活用した家族信託の手続き事例 ~海外赴任中の息子が札幌で暮らす父の財産(マンション・金銭)について家族信託を設定~
2022/05/12
本件の特徴
1)海外単身赴任中、オンラインミーティングを活用し家族信託の手続きを進めた事例
2)将来、介護施設へ入所の際は受託者の判断で不動産の売却し介護施設費用に充てたい
3)受託者名義の既存の口座を信託口口座として利用
海外に単身赴任されている息子様よりお父様の財産管理について、弊社ホームページを通じてWEB個別相談の問合せがありました。
お父様は札幌で独り暮らしをされており、最近物忘れが多くなられ、将来認知症等で独り暮らしが出来なくなった際の備えに、「家族信託」の利用がふさわしいと考えられお問い合わせがありました。
海外へ単身赴任中のため、ZOOMを利用しオンライン個別相談を実施致しました。
息子様のニーズは以下の内容でした。
お客様のニーズ
- お父様が高齢であり、認知症等で施設に入所せざるを得ない状況時に、息子様の判断でマンションの売却手続きを行い、介護施設費に充てたい
- お母様は既に認知症で施設へ入院されており、将来お父様が先にお亡くなりになった場合は、お父様の資産をお母様の入院費を優先に使うようにしたい
- 家族信託の遺言代用機能も利用し、将来相続時の財産分配方法のご希望も示したい
信託財産の分け方
お子様は2名でしたが、相談者の受託者の方以外のお子様とは連絡が取れないご状況でした。お父様は日頃より面倒をみてくれる受託者の方へ財産を引き継がせたい。というご希望があり、音信が取れないもう一方のお子様がもつ遺留分減殺請求については十分にご説明しご納得のうえで帰属権利者を受託者お一人に設定致しました。
家族信託の内容
お父様の生前はお父様のために財産管理を行い、お父様がお母様より先にお亡くなりになった場合は、残された財産をお母様のために利用すべく財産管理を行い、両親共にお亡くなりになった場合に信託が終了して息子様が財産を継ぐ設定にいたしました。具体的には、お父様を当初受益者、お母様を二次受益者、息子様を帰属権利者とする受益者連続型信託をご提案しました。
信託口口座について
海外に居住する息子様は日本国内で非居住者の扱いになるため信託口口座を開設することができませんでした。息子様の奥様を受託者とする案も検討しましたが委託者の同意を得ることが困難と思われたため、本件では受託者が既に保有していた受託者名義の預金口座を利用し信託財産を管理することとしました。弊社では原則的に信託口口座の開設をお勧めしていますが、当事者のご理解や、家族信託を設定しなかった場合に想定される問題を勘案した結果、このような対応で進めました。
不動産の信託登記
不動産を信託する場合、登記手続きには受託者の方の住民票が必要となります。今回、海外に住所があることから現地の大使館で在留証明をご取得頂き信託登記のお手続きを致しました。
最後に
信託契約書を作成するにはお客様よりご要望を伺いながら何度か打合せが必要となりますが、今回の事例はメールやWEBでの打合せを活用し、打合せ時間は時差も考慮しながらお客様よりご協力いただき進める事が出来た事例でした。コロナ禍により国内であっても対面での打ち合わせが難しくなっている環境下において、弊社ではWEBを活用しこのような対応もできるよう体制を整えております。
また、遠方にいながらもお父様の物忘れのご様子等、早期にお気づき頂いたことで家族信託の手続きまで至ることができた事例でした。残念ながら認知症が進行しお手続きをお断りするケースも増えてきています。日頃からご家族間でコミュニケーションを取られてる中で、お父様のご状況を敏感に察し、事前の手続きの必要性を感じて頂けました。
・何度も同じことを繰り返しお話される
・何回か話したことを、改めて聞いても覚えていない
・今までできていた支払い等の手続きも期日を忘れる
・長い文章を読む気力がなくなった 等…
コロナ禍、外出機会も少なくなり体力も低下し、人と関わりが失われコミュニケーションも取りにくくなったご時世、弊社へも多く寄せられるお声です。コロナ禍で急激にご両親の体力や精神面が不安定になり、生前対策の必要性を感じると伺います。
周りのご家族の方がご両親の変化を早期に気づき、動き出すことが重要と感じております。
少しでも思い当たる点がある方で両親の財産管理でお悩みの方はお気軽にご相談ください。