実績紹介

一次受益者死亡後の手続きと二次相続に向けた準備

2022/06/23

弊社にてお手続きの経緯

今回ご紹介する事例は、以前家族信託の設定でご紹介したお客様(A様)が亡くなられた後の手続きについてです。 

対応する家族信託設定の背景は下記のリンク先をご覧下さい。 

 <実績紹介>90歳を過ぎた父親の財産管理を目的とした家族信託 

 

事例のポイント

 

委託者兼一次受益者が亡くなられた際の手続き 

相続税申告手続き 

二次相続に向けた準備

 

一次受益者が亡くなられた際の手続き

委託者兼一次受益者であるA様が亡くなられたため、死亡時の手続きについて受託者であるB様からご相談をお受けし、弊社でサポートした一次受益者死亡時における手続きは以下の通りです。 

①信託口口座を利用している金融機関に連絡し、金融機関所定の手続きを行いました。本件では、A様が亡くなられたことを確認できる書類として除籍謄本を提出し、受益者が信託契約書に基づき二次受益者であるA様の奥様に変わった旨の通知をしました。 

②同じく信託財産であった自宅土地・建物について、一次受益者の死亡により受益者が二次受益者であるA様の奥様に変わったため、必要となる登記手続きを行いました。

 

費用について

家族信託は受益者の死亡時に必要となる手続きが比較的容易であるため、弊社では原則的に無料にて家族信託の終了時に必要となるサポートをご提供しております 

②についても、家族信託設定時の経緯を把握している司法書士が手続きを行ったため、短期間で手続きを終えることができました。

 

家族信託をしていなかった預金の相続手続き

家族信託は、委託者が所有する財産について金額を決めて手続きを行います。その際に問題となってくるのが年金の取扱いです。年金は受託者名義で開設される信託口口座で受け取ることができないため、従前通り委託者個人の口座にて受け取りを継続しますが、この預金について相続手続きが発生します。

本件でも、A様ご本人の口座に一定の残高がある状態で相続が発生し口座が凍結されたため、金融機関所定の相続手続きが必要となりました。預金の相続手続きを進めるためには、遺産分割協議書やA様及び法定相続人であるご家族の戸籍、印鑑証明書などの書類を提出する必要があり、また金融機関での手続きが終わるまで2週間ほど待たなければなりませんでした。手続きを進めたB様にとって、家族信託との手続き負担の違いが如実に現れたケースでした。

 

年金の関係で残高をゼロにはしづらい委託者個人口座の預金や、家族信託を手続きした時点で認識されていなかった財産が後日出てきた場合に備えて、家族信託とは別に遺言を作成することもあります。ただし、公正証書遺言の作成には公証役場における費用が必要になるなど、費用に応じたメリットがあるか疑問が生じるケースがあります。

このため、年金については日常生活資金として使用することで可能な限り個人口座の残高が増えないようにしていただき、生活資金として使われなかった預金が増えることがあれば、ご本人の意向を確認しつつ追加信託の手続きをするようご案内しております。また、口座残高が少なければ、ご本人が亡くなられた時点で全て引き出し、葬儀費用などに充てるようアドバイスすることもあります。

 

相続税の申告手続き

本件では、相続税の課税対象となる財産の額が基礎控除の水準を上回っており、相続税の申告が必要でした。相続税の申告を税理士が行う際には、相続財産の確認が一つの重要なポイントになります。家族信託では、手続きをする過程で生前にご本人の財産状況が整理される他、受託者が信託財産の使途など管理状況を記録しているため不明瞭な資金の動きがほとんどなくなります。また誰が何を相続するかという問題も家族信託の手続きを通じて生前に共有されていたことで、非常に速やかに申告の準備を整えることができました。本件の家族信託では、一次受益者であるA様が亡くなられた後も二次受益者であるA様の奥様を受益者として継続する内容としていました。この場合相続税の申告において、信託財産はA様の奥様が相続したとみなされるため、配偶者控除が適用されました。

 

二次相続のご相談

A様が亡くなられたことで、次にご相談いただいたのはA様の奥様に関する二次相続の問題でした。大まかには下記3点で、すべての内容を詳しくご紹介することはできません。しかしながら、大切なことは生前にご家族の中でこれらを整理しておくことで、A様が亡くなられた際と同様に、スムーズかつ関係者にとって納得のいく手続きが可能になると考えております。 

・利用中の家族信託に変更の必要は無いか 

・相続税の負担について 

・家族信託をしていないA様の奥様の個人資産について

 

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