家族信託Q & A

家族信託を使うと相続税の節税になるの?③

2016/12/27

ご質問

家族信託を活用したら不動産取得税と登録免許税の節税になるの?


回答

前回からの続きで「家族信託を使うと相続税の節税になるの?」についての第三弾になります。
家族信託を活用することで節税効果が生じたケースのお話しは、今回で最後となります。

昨今の税制改正では、会社が負担する法人税の割合は軽くなる方向にあります。先日発表された2016年の税制改正大綱では、法人税の実効税率がついに30%を下回ることになりました。このような環境下でご相談いただくのが、個人で所有していた物件を会社に移すということです。ただし、その際に一つネックになるのが不動産取得税と登録免許税の問題です。

物件の会社への移転はオーナー個人と会社の間での売買として実行しますが、これには不動産取得税と登録免許税がかかります。2つ併せて土地の固定資産税評価額に対して3%、建物に対して同5%かかります。物件の規模やローンの残高によっては、2年もしくは3年分の利益がこの支払いで吹き飛んでしまうこともあります。この不動産取得税と登録免許税の負担を抑えることができるのが、家族信託を活用した法人への移転です。

信託を設定することで、物件の財産としての価値は受益権という権利に置き換わりますが、この受益権を会社に対して譲渡することで、物件を会社に譲渡するのと同様の効果を得ることができます。

信託は設定に際して、登録免許税が土地の固定資産税評価額に対して0.3%、建物が同0.4%かかりますが、受益権の譲渡に際しては不動産取得税がかからないほか、登録免許税は1件1,000円しかかかりません。このため、通常の売買と比べて約10分の1のコストで移転ができることとなります。

なお、家族信託を活用した物件の会社への移転は、ローンが残っている物件でも対応が可能ですが、金融機関の同意が必要となります。

 

<執筆者情報 >  株式会社つなぐ相続アドバイザーズ 代表取締役   公認会計士 税理士 深谷 陽次郎 
2013年 深谷陽次郎公認会計士・税理士事務所を設立。企業オーナーや相続、事業承継のコンサルティングサービスを多く扱う中で相続における生前対策の必要性を感じ、2014年株式会社つなぐ相続アドバイザーズを設立、これまで100件を超える家族信託に係わる。不動産相続の実績も豊富で、税務視点からの信託設定のアドバイスにも定評あり。一般社団法人家族信託普及協会の会員でもあり士業間のネットワークも充実している。

 


家族信託を活用した節税についても、つなぐ相続アドバイザーズ

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