家族信託Q & A
自宅の家族信託を考えていますが、不動産だけでなく預金についても同時に家族信託をした方が良いですか?
2023/01/23
ご質問
自宅の家族信託を考えていますが、不動産だけでなく預金についても同時に家族信託をした方が良いですか?
回答
近い将来自宅に一人で済み続けることが難しくなり高齢者施設に移ることになった場合に備えて、施設費を賄うために必要に応じて自宅を家族の判断で売却できるようにすることを目的として、家族信託の相談をお受けすることが多くあります。
ご相談者の目的が自宅の認知症対策であるとしても、弊社では以下の理由から原則的に家族信託の設定時に一定額の金銭(預金)も家族信託をし、信託された金銭を管理するための信託口口座を開設しておくことをお勧めしています。
- ①自宅の管理を続けるために、一定額の信託金銭があると便利
受託者が自宅の管理を続けていく上で、固定資産税や修繕費の支払いなどが必要になります。信託された金銭があれば受託者は信託金銭からこれらの支払をすることができますが、信託金銭が無い場合は支払の必要が生じる度に受託者は受益者に対して精算を求める必要が生じます。 - ②自宅を売却した場合の金銭の管理
将来的に自宅を売却した場合にはまとまった額の金銭が発生し、この管理が問題となります。不動産の管理・処分だけを想定した家族信託と金銭の管理も含めて想定した家族信託では信託契約書の記載内容に違いがあるため、受託者による信託財産の管理方法や受益者が亡くなった場合の残余財産の扱いなどを巡って問題が生じる恐れがあります。 - ③信託口口座の事後的な開設が困難
弊社が把握している範囲において(特に北海道内)、金融機関では信託口口座を開設する場合に、信託契約書の事前審査を求めています。このため、信託口口座を開設することなく家族信託の利用をはじめ、事後的に信託口口座の必要が生じたとしても金融機関に口座開設の対応をしてもらえない恐れがあります。
一方で、信託口口座の開設を含めて家族信託の設定手続きを進めると、以下のような費用が追加で発生することになります。②については、信託契約は公正証書で無くとも作成は可能ですが、信託口口座を開設するための要件としてほぼ全ての金融機関が求めています。反対に信託口口座を開設しないのであれば、かけずに済む費用とも言えます。金額は一様には言えませんが、①と②を併せておおむね10万円ほどになります。
①金融機関における信託口口座開設手数料
②公正証書で手続きを行うための公証人手数料
ご相談の中には、委託者となられる方の預金が必ずしも十分ではなく、あまり手続きに費用をかけられないこともあります。一方で、預金が十分ではないからこそ、施設に移る際には確実に必要なタイミングで住まなくなった自宅を売却できるようにしておく必要性が高いとも言えます。また、金融機関も口座名義人の意思能力が低下した場合においても、一定の手続きにより家族による引き出しや振り込みを認めていることもあります。
このため、信託口口座を開設しておくことによって得られる安心と便利さを、信託口口座を開設するために必要となる追加費用の額と比較しながら判断いただくことになるかと思います。
なお、弊社では自宅に特化することで手続き費用を可能な限り抑えた家族信託の設定サービスを提供しております。
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◇◇その他、家族信託に関するQ&A◇◇
Q.家族信託とは?
Q.預金口座そのまま信託財産に含めることはできますか。信託に組み入れるメリットはありますか?
Q.信託された金銭については相続対象になりませんか?銀行はしっかり対応してくれるのでしょうか?